top of page

2021/09 「便利な政府」への転換を

  • 執筆者の写真: Makoto Numata
    Makoto Numata
  • 2021年10月15日
  • 読了時間: 2分

 まだ当分はウイズコロナの非日常が続くのだろう。おのずから気鬱になるのも止むを得ない。しかしそれは同時に、従来の常識を根元から点検して、新たな変革をもたらす好機でもある。今が歴史の転換期だという奥深い時代認識を持って、この危機を次の飛躍にかえることが大切だ。それでは、パンデミック後の新たな日常はどのようなものなのか。

 必要なのは根本的な行政改革であり、なかでも政府パラダイムの見直しである。これまでは悪しき新自由主義の横行によって、市場と企業を過大に信用し、民営化や規制緩和など「小さい政府」が最適解とされてきた。しかし経済成長が鈍化して、格差の拡大はK字型に二極化している。現在のパンデミックはこの流れを決定的にした。従来の安倍政治では、株屋のための虚妄なアベノミクスが強行され、社会保障予算が7兆円も削減されて弱体化した。

 この「小さな政府」を脱却すべき新トレンドが形成され始めた。積極的な政府活動への要請が高まっている。未曽有の経済縮減への対応は急を要する。その場合、先行的に歳出が膨張しているのが難問だ。以前から日本は財政赤字が累積してきた。いわば将来所得の先食いである。論点は政府規模の大小を問うことではない。「大きな政府」を有効に動かすことだ。北欧の各国は、能力開発や就業支援に注力し、社会保障で「弱者の復活」をめざしている。

 かつて福沢諭吉は『文明論之概略』(1875年)のなかで、「すべて世の政府は、ただ便利のために設けたるものなり」と断じた。コロナ禍で今後の政府パラダイムを展望するときに、これがひとつのヒントになる。「便利な政府」への政策転換には、従来の発想を根本から変える必要がある。改革が進まなかった日本は課題先進国であり、その意味では大きな挑戦になるだろう。


 
 
 

最新記事

すべて表示
入札談合と公契約条例I ー 新たな改革戦略を探る

ひところ頻繁に東京2020オリンピック・パラリンピック大会(以下「東京五輪」)の不祥事が報じられた。この大会は最も汚れた恥ずべき頽廃イベントとして歴史に残るだろう。「フェアな」スポーツの祭典などという美辞麗句の背後で、あいも変わらぬ不浄な贈収賄と談合が横行していたからだ。電...

 
 
 
始動した宇都宮LRTの課題(3)——ナショナルミニマムの限定提供

ところで青森では拡大した都市空間を3区分する計画を策定した。市域を「インナー」、「ミッド」、「アウター」の3つに分けて、機能別に目的を設定するという。コンパクトシティは一面で、最少コストで最大サービスを提供することを空間化した市街地モデルなのだろう。したがって「ナショナルミ...

 
 
 
始動した宇都宮LRTの課題(2) ——コンパクトシティの暗雲

実はコンパクトシティ(集約型都市)には、目的を異にする2つの種類がある。目的のひとつは人口が増大する都市の成長を管理するためであり、他のひとつは人口が減少する都市の存続を図るためである。スプロールの抑制策と、スプロールを既定の環境とする計画ともいえる。つまりコンパクトシティ...

 
 
 

コメント


bottom of page